一代目がこの地で小さな宿を始めたころは、厳しい寒さと大雪は健在で、縄文人の名物オヤジは持病を抱えながらもタイヤシャベルを運転し、雪と格闘しておりました。そんな豪雪の中で生まれたオヤジの企画が「雪下ろしをすれば、一泊三食宿泊料無料!」の雪かき体験ツアーです。
学生さんから子連れのご夫婦や仕事仲間でなど、いろんな県から集まって、雪下ろしの重労働を手伝ってくださいました。夕方の作業が終わるとジャンケンで客室の争奪戦。炭火焼料理でワイワイにぎやかでした。朝は筋肉痛の声が続々と、風邪をひいて熱を出した方もいました。
今はなかなか企画できていませんが、いつか何かできるようにと、オヤジが作り過ぎた雪下ろしのポスターを毎度張替え飾っています。
やってもやっても降り続く雪に途方に暮れそうになりますが、湯の花と青白く白濁している湯のあたたかさが、「なんとかなる、いい湯っこであったまってもらうべし。」と励まします。だからコツコツ元気にみがいています!そうして頑張ることができるのも、「便利」のない時代から、忍耐と労力を惜しまずこの地を開拓し耕し続け、豊かさを築き、湯を守り継承してきた人々のおかげさまです。
今年は、子供が冬休みに作った雪だるまと「かまくら」が一か月も崩れないでいる寒い冬。春の雪解けを待ちわびる長い長い「嶽の冬」です。