お客さんとの思い出は色々あります。FAXがない頃、当時の予約は電話のみで受け付けをしておりました。「〇月〇日〇泊の料金はいくらで、〇時より会食で芸者〇名をお願いします」とのこと。
さぁ当日。準備が整い、芸者さんも揃い、御一行の到着を待ちますが…やって来ません。以前一度来館されたお客様なので、幹事さんの家に電話を入れたら、確かに大鰐に向かっているとのこと。これは途中何かアクシデントがあったかと30分、そして1時間待っていましたが、お客様は来ず。
次第に不安が募り、見番に連絡したり色々調べたりしていたら、何のことはないその一行、なんと他の旅館でワッショイワッショイ、宴会も最高潮だったのです。幹事さんを呼び出して話をしたら、予約は取り消したとおっしゃいます。こちらには連絡なし。「取り消した」「連絡なし」の水掛け論です。
その夜は解決せず過ぎましたが、翌日、幹事さんが料理代として金一封を差し出し、ここは一件落着。
刻一刻と過ぎる時間への不安、心配、幹事さんとの電話でのやり取り…。忘れ得ぬ古き時代の、一夜の出来事でした。ちなみに今はFAXがありますよ♪